相談事例

札幌の方より相続税に関するご相談

2020年12月09日

Q 母が亡くなり、生命保険金を受け取りました。この生命保険金についても相続税はかかるのか税理士の先生にお伺いしたいです。(札幌)

札幌で独り暮らしをしていた母が2か月前に他界しました。札幌の地主の娘であった母は20年前に祖父よりいくつかの不動産を相続しており、そのまま母の名義に書き換えられ残っていたため、今回の相続では不動産がメインとなります。そのほかにも母の財産として5000万円ほどの預貯金がありました。相続人は私を含め兄弟3人ですが、母の遺産の内容を考えると基礎控除額を大きく上回り、相続税申告は必須になりそうです。

遺産の他にも私は母が自ら契約者、被保険者となっていた生命保険金の受取人に指定されており、生命保険金を受け取ることになっています。保険金の受取額は2000万円ほどでしたが、この保険金についても相続税の課税対象となるのでしょうか。なお他の兄弟は生命保険金を受け取っていません。(札幌)

A:生命保険金はみなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、非課税限度額が設定されているため、その範囲内であれば相続税の計算に含む必要はありません。

生命保険金(死亡保険金)は民法と税法では扱いの異なる財産となり、相続財産の中でも判断が複雑でまよわれる方も多いため、詳しくご説明させていただきます。

生命保険金は民法上受取人固有の財産として扱われます。通常遺言書がない場合は相続人全員が集まりどのように遺産を分割するかを協議する必要がありますが、この生命保険金についてはそもそもご相談者様の固有の財産であり、遺産分割は不要です。

しかしながら民法上相続財産として扱わないにもかかわらず、相続税の課税対象にはなります。このような相続財産を「みなし相続財産」といいます。生命保険金の他にも死亡退職金などもみなし相続財産として扱われるので注意しましょう。ただし生命保険金及び死亡退職金のみなし相続財産にはそれぞれ非課税限度額が定められているため、受け取った額全てが課税対象となるわけではありません。

<死亡保険金の非課税限度額の計算>

死亡保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

今回のケースの場合、法定相続人がご兄弟の3名になるので、非課税限度額は1500万円になります。相続全体で受け取った生命保険金が2000万円なので、非課税限度額を差し引いた500万円に対して相続税が課せられることになります。

対象となる生命保険金はその保険料の全額もしくは一部を被相続人が負担していたものとなります。また今回のケースとは異なりますが、被相続人が契約金を支払っていたものの、被相続人が被保険者ではない保険契約についても課税対象となるので気を付けてください。

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