相続財産の評価方法は、財産の種類により様々です。財産の中で不動産の評価については、土地の形状や周辺の環境等の条件により評価方法が異なり、その他の財産と比べて専門性の高い知識が必要となります。株式や投資信託などにも、それぞれに決まった評価方法がありますので、どの方法で評価をするかという事を判断する必要がありますので、相続税における財産の評価はかなり難易度の高い作業なのです。
また、相続財産には現金のようなプラスとなる財産の他、負債などのマイナスの財産があります。相続財産の評価に必要な資料は、それぞれ財産毎に下記のとおりです。ご確認下さい。
プラスとなる相続財産の評価の場合
被相続人が所有していた現金、また預貯金、株式、不動産、動産、未収入金等がプラスとなる相続財産です。それぞれの評価方法について確認していきましょう。
預貯金の評価方法
金融機関に被相続人名義で預けている預貯金は、残高がそのまま評価額となります。残高は、被相続人の死亡日の預貯金残高証明書等により確認する事が出来ます。
- 金融機関の預貯金通帳
(死亡日より前5年分) - 定期預金がある場合は、定期預金証書と経過利息
- 残高証明書
被相続人の死亡日直前に銀行から出金した現金が、もしも死亡時に手許に残っていた場合には、手許現金として相続財産に含めます。
生命保険金等の評価方法
生命保険金とは、被相続人の所有していた財産ではなく、被相続人が死亡した事により相続人の財産となります。ですから、民法上では相続財産ではありませんが、相続税を計算する場合には相続財産とみなして相続税の課税をされます。
- 保険証書
- 死亡保険金の支払い明細書
未収金の評価方法について
被相続人に係る未収金(退職金、最終給与、貸付金等)など、将来支払われるであろう未収金がある場合には、金額を証明する下記の書類が必要となりますので保管をしておくようにしましょう。
- 死亡退職金、弔慰金、最終給与支払などの明細書
- 貸付ている金銭等がある場合には、その金銭消費貸借契約書
- 契約に基づいた未収金がある場合は、その請求書や契約書など
不動産の評価方法
被相続人名義の自宅などの不動産については、対象不動産の所有権や面積等を証明できる書類が必要となります。
- 登記簿謄本
- 固定資産税評価証明書
- 土地の公図、地積測量図など土地の形状や面積がわかる資料
- 住宅地図
- 路線価図
- 賃貸の場合は、賃貸借契約書
有価証券の評価方法(上場株式等)
上場株式や国債も相続財産となりますので、所有していた場合には評価をする必要があります。評価にはそれぞれ財産により時価を証明する書類が必要となります。
- 証券会社が発行した残高証明書
- 株券と配当金の通知書
自社株等の非上場株式等の評価方法
上場していない自社株などを所有していた場合の評価方法は、その発行している会社についての評価を行います。この場合には、下記のとおり会社が保有する資産、負債に関する資料が必要となります。
- 決算書(過去三年分)
- 法人税申告書
- 不動産を保有している場合には、その土地評価に必要な書類
- 上場株式や有価証券を保有している場合には、その上場株式の評価に必要な書類
マイナスとなる相続財産の評価の場合
マイナスとなる相続財産とは、住宅ローンや借入金、未払い金、また葬儀費用も含まれます。こういったマイナスとなる財産は、相続財産から差し引く事ができます。
借入金の評価方法
住宅ローンなど、被相続人が金融機関から借り入れをしており、残高が死亡日時点でまだ残っている場合はマイナスとなる財産として相続財産から差し引く事ができます。
- 借入金残高証明書、又は借入金返済予定表等
- 金銭消費貸借契約書
未払金の評価方法
死亡日時点で、税金やクレジットカードの請求等に関して未払いのままとなっているものがあれば、それについてもマイナスの財産として評価をします。請求金額がそのまま評価額となります。
- 固定資産税、所得税、住民税などの未払いの税金に関する通知書や領収書
- クレジットカードの支払いが未払いの場合にはカードの明細書
- 死亡後に支払いをした医療費等がある場合にはその請求書や領収書
- その他、各種請求がある場合にはその請求書や領収書等
葬式費用の取り扱い
葬式費用は、未払い金としてマイナスの財産として扱われます。下記のような葬式に関する費用は、相続財産から差し引く事が出来ます。
- 遺体の捜索や運搬費用
- 通夜などの葬式前後にかかった費用
- 葬式や葬送、火葬、埋葬、納骨費用
- お寺などへの読経料などの費用
また、下記にあげる葬儀に係る費用はマイナスの財産として扱われません。注意しましょう。
- 墓石や墓地の購入費用
- 初七日や法事費用
相続財産の評価の関連項目
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